×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
歴史人Kids
動画

【Mummy-D×KOHEI JAPAN】歴史学者・平山優先生とゆく! 長篠・設楽原の戦いを偲ぶ旅

Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#10


■忠義に殉じた真田兄弟墓
(Mummy-D)

 

 一般に長篠の戦いと言えば、馬防柵と三千丁の火縄銃の前に、ここを死地にと騎馬突撃した武田重臣が悉く討ち取られたというイメージが浮かびますが、平山先生曰く、実際は総大将、武田勝頼を逃すため薩摩兵よろしく捨てがまり、殿軍(しんがり)を勤めつつ討死していったのではとのこと。真田信綱、昌輝兄弟の墓もそんな立地にあります。

 

 激戦地から北へ、北へ。主君を甲斐へ逃しつつ、本人たちもさぞや家族の待つ信濃小県(ちいさがた)、真田の里に帰りたかっただろうなあ、なんて。でもここで長男次男が戦死したことによって、あの戦国一の「表裏非興の者」、三男真田昌幸が台頭し、その息子信之、信繁が歴史に名を残すのだから、運命とは皮肉なものですよね…兄弟とその従者の墓に手を合わせつつ、遠い目です。

 

主君への忠義に殉じた真田兄弟の墓

■貴重な史料を現代に伝える長篠城址・史料保存館 
(by KOHEI JAPAN)

 

 我々を乗せたグラキャビはついに長篠城址にピットイン。久々のキャッスリングに興奮気味のオレ達。長篠・設楽原の戦いは、この城をめぐる攻防戦がきっかけ。武田勝頼率いる大軍1万5千人がこの城を攻撃。それに対し、家康の家臣奥平貞昌は、わずか500人の兵で籠城戦を展開、なんとか持ちこたえた事が、この戦いを「歴史的戦い」へと展開させてゆく

 

 キャッスリングしてみるとやはり立地に驚く。背後には豊川と宇連川の2つの川が堀として利用され、その2つの川が合流する断崖上に城がある。東側を内堀と土塁が守り、周囲は山に囲まれていて、天然の要害だったのが分かる。本丸付近にいまだに残る土塁や空堀も見どころ。日本100名城に選ばれたことも納得である。相当堅牢な造りにしたのだろうが、でもよくたった500人で3週間近く持ちこたえたなあ(遠い目)。

平山先生の案内で、在りし日の長篠城を感じさせる遺構を巡る。

 続いて、帯曲輪にある長篠城址史跡保存館に行くべし! 長篠の合戦時の武器・甲冑・火縄銃、銃弾等を保存・展示していたり、奥平信昌が決死の籠城戦で使用されたと伝わる「血染めの陣太鼓」など、長篠城跡に残る遺構や、紹介パネルなどが充実。今回触れなかったけど長篠籠城戦の名脇役、鳥居強右衛門にまつわる展示も豊富です。長篠城に来たら是非立ち寄りたいスポットですな。行くべし!

 

 最後に、豊川と宇連川の合流地点の断崖上に長篠城が見える場所まで、平山先生に案内していただき記念撮影。水面から城までの崖は数十メートルはあり、天然の要害だったことを再確認。川沿いにも武田軍がぎっしりと城攻めを窺っていたらしい。

 

 そんな殺伐とした光景が広がっていたこのエリアだが、今では、地元の子どもたちの川遊びスポット。取材当日も子供達が水遊びしており、楽しそうな声が響いている…。子供達の声を聴きながら、450年前のこの地の出来事に想いを馳せ、長めの遠い目をキメたのだった

地形を活かした長篠城が辿った運命に思いを馳せて遠い目。

KEYWORDS:

過去記事

Mummy-D&KOHEI JAPAN(まみーでぃーあんどこーへいじゃぱん)
Mummy-D&KOHEI JAPANまみーでぃーあんどこーへいじゃぱん

Mummy-D(兄)
1970年横浜市生まれ。ラッパー、プロデューサー。1989年に宇多丸と出会いRHYMESTERを結成。日本のヒップホップ・シーンを、黎明期から開拓、牽引してきた立役者。近年は益々旺盛な音楽活動に加えて、役者業や、歴史好きが高じて、歴史にまつわるトークショウに登壇したり、桑名市の歴史観光PRアドバイザーを務めるなど、活躍が多岐にわたる。近作に6月リリース、ライムスター・アルバム『Open The Window』(Billboard週間8位/Billboard配信1位/オリコン週間12位)。キャリア34年目にしてソロデビュー! Mummy-Dシングル「同じ月を見ていた feat. ILL-BOSSTINO」配信中。2024年2月16日にはツアーファイナルとして日本武道館公演を大成功させた。
HP: https://www.rhymester.jp
Instagram: @mistadrunk

 

KOHEI JAPAN(弟)
1971年横浜市生まれ、ラッパー、プロデューサー。1994年、ラッパーのKINらとメローイエローを結成。マチズモとは一線を画す、等身大でユニークな世界観が、その後の日本のシーンに多大な影響をもたらしている。またソロアーティストとしても活躍。「生活レベルの喜怒哀楽」を巧みにヒップホップに昇華して、報道番組、新聞各紙などでも特集されてきた。兄とともに歴史好きとしての一面も持ち合わせ、明治維新150年という節目に、佐賀藩の歴史をラップで紹介、肥前名護屋城跡PRムービーの楽曲制作を行うなどの活動も。近作に8月リリース、KOHEI JAPANシングル「Dance In The Dark」が配信中!
Instagram: @koheijapan_

最新号案内

『歴史人』2025年12月号

日本人と『論語』の歴史

「子曰く」の書き出しで知られる『論語』は、戦国大名や幕末志士も学んだ学問であり、今日でも多くの人々に影響を与えている。今号では、基本的な内容から登場人物までを解説し、孔子が残した「生きる力」について考察していく。